廃棄物処理法あるあるスタディ

コラム廃棄物処理法あるあるスタディ

廃棄物処理法のポイントをご紹介します。

執筆:メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント 堀口 昌澄

第11回

「 ゴミ箱は廃棄物の保管場所なの? 」

メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社
シニアコンサルタント 堀口 昌澄

産業廃棄物の保管場所には、囲いと掲示板を設置する他に、飛散流出、害虫発生の防止、保管高さ制限などの基準があります。特に、囲いと掲示板については、物理的な施設の設置が必要なので、それ以外の運用・管理に係る基準のように「今日はたまたま…」という言い訳が一切できません。したがって、会社としては保管場所に該当するところを確定し、囲いと掲示板を間違いなく設置しなければなりません。ところが保管場所の定義があいまいなため、悩まれているケースが多くあります。
実は保管場所には、積替え保管/処分にあたって保管する方法と、運搬されるまでの間の保管方法に分けられています。ここではほとんどの排出事業者が関係することになる後者を基本に考えましょう
廃棄物処理法第12条第2項では、
「事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。」と定められています。
これでは保管場所の定義としては抽象的すぎて、判断に迷うのも無理はありません。ただし「運搬されるまでの間」というキーワードは重要だと思います。少なくとも運搬業者に引き渡す直前の場所は保管基準の対象になるといえるでしょう。では、フロアなど一定の区画ごとに設けられていて、分別ボックスが並んでいるゴミステーションのような場所はどうでしょうか。ビルのフロア内だとすると産廃の保管場所とは考えずに、掲示板等を設置しなくてもよいかもしれません。ただし、フロア内であっても、蛍光灯や梱包材、不要となった什器備品類などを収容する廃棄物専用の小部屋がある場合や、感染性廃棄物や廃油のような危険性や有害性がある産業廃棄物等を専用の施錠ができる場所に保管し、業者が直接取りに来てくれる場合は、掲示板が設置されていることが多いようです。
建屋が複数ある工場で、建屋ごとに設置した中継基地のような場所はどうでしょうか。工場の建屋単位であればそれなりの規模がありますし、収集運搬業者が建屋を回って収集してくれることもありますので、該当すると考えたほうが無難かもしれません。
では、個人~数人ごとに割り当てられたいわゆる「ゴミ箱」はどうなのでしょうか。さすがにここを保管場所と考える方はほとんどいないでしょう。産業廃棄物を管轄する行政の事務所でも、保管場所の掲示板が設置されているのを見たことがありません。工場の作業工程の脇に設置されたボックスも同様です。
なかには、廃棄予定の在庫を、処理業者が引き取りに来るまで移動せずにその場に保管する場合や、引取直前まで機器や備品の使用を継続する場合もあります。処理業者に引取を依頼した時点で廃棄物だという解釈も成り立ちますが、無理に保管基準を適用すべき「保管」をしていると考える必要はないと思います。
保管基準の内容は、5S管理に役立つものばかりです。個人的には、法の適用の有無にあまりこだわらずに、「自社の管理上どのように掲示板や囲いを設置すると有意義か」という観点で考えられたほうがより実用的だと思います。
いずれにせよ、廃棄物処理法では明確な定義はありません。そのうえであえて判断基準を考えるのであれば、
「以下のいずれかに該当すると保管基準の適用を受ける」
と考えられないでしょうか。
・屋外にある
・収集運搬業者が直接取りに来る
・不特定多数の方の往来が想定される場所にある
・取扱いに特に注意が必要な廃棄物がある
これはあくまで例示ですが、それなりに妥当な判断基準だと思いますが、いかがでしょうか。一つの参考にしていただければと思います。
なお、仮に保管基準違反があったとしても、罰則の規定はありません。万一違反だという指摘があったとしても、まずは指導から始まるでしょうし、それに従わないと改善命令を受けて、さらにそれにも従わなかった場合にはじめて罰則の対象となります。意図的な違反は論外ですが、納得のいく説明ができるのであれば、それほど神経質になる必要はないと思います。

(2018年11月)

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